嗜癖 ‐addiction‐

私は今日も頑張らない

自己紹介

もうすぐ27歳。春生まれでAB型。特例子会社でフルタイム勤務。愛社精神帰属意識は大切。仕事いっしょうけんめい頑張る。

他の事は頑張らない。根性や努力しない。考える余力もない。生きてる感謝できない。生きることは辛いこと。人が怖い。だから外に出たくない。あかるい日射しにあたりたくない。ずっと横になって寝ていたい。それで目が覚めたくない。どこにも行きたくない。誰にもあいたくない。

人生で一番しびれた経験

料飲部のころの話。


お客様に対してへりくだって、力の果てまでへりくだって、あらゆることに応えるために尽くす。

控え目かつ少し頭が悪いようなたたずまいで、
やや誇張気味に話に反応して差し上げる。
母体は宿泊業だし、そのなかのサービスだから、節度は保って、周りの従業員の目も気にしながら、
つとめて自然になるように、さりげなく媚を売る。
できる限り名前を覚えて頂けるように努め、時々、帰り際にご名刺を差し出された。その貰った枚数が当時自分のアドバンテージだった。

職場の人間関係は悪かった。だから、お客様だけが拠り所だった。

色々と心が寂しかったこともあって、くだらないけれど、褒めそやされたりすることで救われていた。

酔っ払いや何だかんだ色々話をしたがる人は悪しき心を持ってる人が少なくなかったけど、一人だけ忘れられない人がいた。

なんだか初めは、諦めというか、哀感というか、言葉にならないような、とても悲しげな目線や雰囲気をかもしていて、とにかく強烈な印象だった。
多分、歳は結構いってて、スーツだったけど、定年が近そうな感じだった。

生きることを楽しむんだよって、何の変哲もないことに、どうしてか分からないけど、心を強く打たれて、泣いてしまいたくなった。

ご名刺は頂いてなくて、名前も知らなくて、こと細かな話もしなかった。
でも一度だけ打ち明けてくれたことがあった。
詳しくは書けないし、至極当然、その時話してくれたことだけが全てではないだろうけど。

何ていうか、声質だったり、なかなか類を見ないような雰囲気にも感化されてしまい、情が芽生えるっていう言い方はかなり妙だけど、二十三歳の自分はそのような気持ちをいだいてしまった。

あの人の罪がゆるされることを祈っていて、その祈る気持ちがいまの生きる力にも繋がっていて、きっとずっと忘れない。

時々、あの人のフィクションを深く想い、声や、ぬくみを近くに感じようとすれば、あの時の会話が聞こえてきそうに感じる。

このくにのどこかで、同じように朝や夜をむかえていることを思うと愛しくて、心が締め付けられそうになる。

志半ばで辞める事になった仕事で、たかが二年間のなかのひとつ。
されどひどく大切で、とても妙な記憶。

ただ病んでいて、頭が変だったのかもしれない。
今も時々おかしくなった時に、よく思い出される話。ふつうに考えると、気持ち悪い。